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2015/02/06

<トピックス>経済・経営コラム 第68回 サムスンの変革、韓国経済の変革                                                     西安交通大学管理大学院 林 廣茂 客員教授

  • 西安交通大学管理大学院 林 廣茂 客員教授

    はやし・ひろしげ 1940年韓国生まれ。同志社大学法学部卒。インディアナ大学経営大学院MBA(経営学修士)課程修了。法政大学大学院経営学博士課程満了。長年、外資系マーケティング・コンサルティング会社に従事。滋賀大学、同志社大学大学院ビジネス研究科教授を経て中国・西安交通大学管理大学院客員教授。日韓マーケティングフォーラム共同代表理事。著書に「日韓企業戦争」など多数。

◆サムスンはIoTのチャンピオンに◆

 巨人・サムスン電子が、「軋み」をあげている。絶対的な総帥である李健熙氏が心筋梗塞で倒れ、氏と意思の疎通ができない状態で、経営の求心力を欠いたままである。氏のカリスマ・リーダーシップに率いられ、間断のない危機意識の高揚とスピーディーな経営変革を重ねて、世界最大・最強のデジタル家電メーカーになったこれまでの力強さや躍動感が、このところ感じられない。

 14年初頭、李健熙氏は、「もう一度、すべてを変えろ。時代の流れにあわないような思考方式や制度、慣行はすべて捨て去れ」とサムスン・グループ全体にさらなる変革を求めた。「新事業・新製品開発を最優先せよ、それもマッハのスピードで」。しかし、14年のサムスン電子は守りに入り、変革・革新は後まわしになったようだ。

 グループの中核企業・サムスン電子の14年の業績(暫定値)は、売上高が前年比10・2%減の205兆4800億ウォン(22兆6000億円)、営業利益が32・2%減の24兆9400億ウォン(2兆7400億円)に留まった。9年ぶりの減収減益だ。半導体部門が好調で全体業績を下支えした。

 その最大の理由は、一昨年まではダントツの売上と利益をたたき出していたスマホ「ギャラクシー」の新興国での大不振に尽きる。とくに世界最大市場の中国で、低価格で標準性能のスマホ「小米(シャオミ)」が一気にサムスンを抜き去り、レノボもサムスンを超えた。サムスンの台数シェアは13年の20%超から10%前後に激減した。東南アジア(インドネシア、フィリピンなど)では、サムスンを地場メーカーや中国メーカーがどんどん食いちぎっている。


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