◆金融政策に頼るマクロ経済政策は限界に◆
1月29日の日本銀行の政策委員会・金融政策決定会合において、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するためのマイナス金利の導入が、賛成5反対4で決定された。マイナス金利は、2月16日から実際に導入されたが、お隣の韓国では同じ日に、韓国銀行の金融通貨委員会が開催され、基準金利を1・50%に据え置くことが決定された。
金融通貨委員会は1月14日の金融決定会合でも基準金利の維持を決めたが、その後に公表された韓国経済に関する指標は、景気の先行きに不安を抱かせるものが多かった。
1月29日に公表された「産業活動動向」では、2015年12月の鉱工業生産指数は季節調整済前月比で1・2%増と、2カ月連続のマイナスからプラスに転じたものの、個人消費を供給側から把握する指数である小売販売は、2カ月連続のマイナスとなった。
さらに2月1日には、今年1月の「輸出入動向」が公表された。輸出入金額には季節調整がかけられておらず、前年同月比で見るしかないが、1月におけるドル表示輸出額の前年同月比はマイナス18・5%と大幅な減少を記録した。この大きな要因は輸出単価が14・0%下落したことである。昨年と比べウォンがドルに対して10・4%安くなっている。輸出企業はウォンが安くなった分、ドル表示の価格を下げたと考えられ、これがドル表示の輸出単価の下落につながった。ただし輸出数量もマイナス5・3%と減少しており、中国経済の不振が続いていることが影響している。
そしてこれら指標の公表に前後して、日本銀行がマイナス金利政策を導入したことが、韓国経済にとって悪いニュースとして伝わった。14年半ばから徐々にではあるが、ドルに対してウォン安が進んできた。ただし対ドル円安も進んだため、15年においても円に対してはウォン高となる展開が続き、最大の輸出相手国である日本に対する輸出競争力がプラスに改善することはなかった。
この状況に動きが見えたのが昨年12月である。対ドル円高が進み、韓国の輸出競争力が改善する期待が持たれかけた。ここに、日本が一段と強力な金融緩和策を講じたとのニュースが飛び込んできて、再び円安が進む懸念が生じた。
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