◆GDPに占める国外最終需要比率33.4%◆
従来の輸出関連指標では、国外景気の動きが韓国経済に与える影響を把握できなくなっている。国外景気が後退すれば輸出を通じて総需要が減少し、韓国景気も後退する。韓国が国外景気の動きに影響を受けやすいことの根拠となってきた指標は、GDPに占める輸出比率である。
韓国の輸出の対GDP比率を見ると、1990年には15・0%であったものが、ほぼ一貫して上昇し、2011年には50%を超え、2013年には57・1%にまで達した。その後、比率は若干低下したものの、2015年でも55・4%と50%を超える水準で推移している。
しかし、この数値は国内で生産された付加価値の半分が国外で需要されていることを意味してはいない。なぜなら、GDP統計の輸出には、国内で生産された付加価値のみならず海外で生産され輸入された付加価値も含まれているからである。
また韓国経済は、年々グローバル・バリュー・チェーン(GVC、以下「GVC」とする)へ組み込まれるようになっており、これが、GDPに占める輸出比率とGDPのうち最終的に国外で需要されたものの比率(GDPに占める国外最終需要比率)の間のギャップを高めている。よって、国外景気の動きに影響を受けやすいか否か測るためには、GDPに占める国外最終需要比率を見ることが望ましい。
内閣府によれば、GVCを通じてグローバル市場へ参加する方法には、①他国の財やサービスの生産過程に自国の生産する中間財や資本財などを供給することでバリュー・チェーンの上流から下流に向けて参加する「前方への参加」、②自国の生産する財やサービスの生産工程に、他国から中間財や原材料などの供給を受けることで、バリュー・チェーンの下流から上流に向けて参加する「後方への参加」がある。
OECDは、各国のGVCへの参加の程度を定量的に測る指標を作成している。2013年に公表された最新値によれば、韓国の「後方への参加度」は、1995年の23・7%から2009年には40・6%へ高まっている。これは輸出に占める海外で生産された付加価値の比率が高まっていることを意味し、ますます、GDPに占める輸出比率では、韓国が国外景気の影響を受けやすいのか判断しにくくなっている。
韓国が国外景気の影響を受けやすいのか判断するためには、GDPに占める国外最終需要比率を見ることが望ましいが、2013年から公表が始まったTiVA(Trade in Value-Added)指標により、これを把握することができるようになった。
TiVA指標は、OECDとWTOが共同で作成する指標であり、国や地域間の財・サービス貿易の流れを付加価値で測っていることが特徴である。TiVA指標の公表により、GDPに占める国外最終需要比率を把握でき、これを見ることで、韓国経済が国外景気の影響を受けやすい構造か正確に判断することができるようになった。
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