◆韓国=インドネシア修好40周年記念切手に使用◆
陰暦1月15日(ことしは2月22日)は、年が明けてから最初の満月の日であり、「1年のうちで最も輝く満月が空に浮かぶ日」として、朝鮮半島の伝統文化では、〝テボルム(小正月)〟の名節とされている。
かつての農村では、陰暦元日のソルラル(今年は2月8日)から15日のテボルムまでを休日として農作業を休み、テボルムが終わると、農作業を再開するというのが生活のリズムであった。
このため、テボルムの日には、家族そろって満月に願い事をするだけでなく、1年間の無病息災を願った食事をしたり(たとえばピーナッツやクルミなど〝プロム〟と呼ばれる固い木の実類を噛むなど)、日没に合わせて、〝厄〟〝送厄〟〝送厄迎福〟などの文字を書いた凧を揚げ、その糸を切って遠くに飛ばして厄払いをしたりするなどのさまざまな行事が行われてきた。
そうしたテボルムの行事のひとつに、悪鬼を追い払う力を備えた獅子にあやかり、邪気をはらい、村に平安をもたらすために〝サジャノリ〟と呼ばれる獅子舞がある。
2013年に発行された〝韓国=インドネシア修好40周年〟の記念切手(連刷切手のうちの左側)に取り上げられた〝北青獅子ノルム〟は、その代表的なものとして有名である。
北青獅子ノルムは、もともと、咸鏡南道北青郡で行われていたローカルな民俗芸能で、その歴史は三国時代にまでさかのぼるといわれている。
しかし、第二次大戦後の南北分断により、咸鏡南道は北朝鮮の支配下に入ったため、呪術的な色彩の濃い北青獅子ノルムは〝迷信〟として弾圧の対象となり、北朝鮮内ではほとんど途絶えてしまった。こうした中で、朝鮮戦争の混乱の中、命からがら南へ逃れてきた北青郡の出身者によって北青獅子ノルムも韓国に伝えられた。
韓国政府は、北朝鮮によって破壊された伝統文化が、韓国において維持・継承されていることをアピールすることの政治的効果を重視し、北青獅子ノルムを国の無形文化財にも指定している。
ところで、北青獅子ノルムを取り上げた〝韓国=インドネシア修好40周年〟の記念切手が発行されたのは2013年だから、そこから逆算して、韓国とインドネシアの国交樹立は1973年ということがお分かりいただけるだろう。
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