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2016/05/27

<トピックス>日韓経済人会議に参加して                                                     日韓経済協会 西村 和義 元専務理事

  • 日韓経済人会議に参加して

    第48回韓日・日韓経済人会議

 韓日の財界人が参加し、両国の経済協力などを話し合う「第48回韓日・日韓経済人会議」がこのほど、両国から318人が出席して都内で開かれ、共同声明を採択して閉幕した。同会議に参加した西村和義・日韓経済協会元専務理事に報告を寄せてもらった。

◆両国の相互理解を促進し、経済発展を◆

 17日・18日の両日、東京で開催の第48回日韓経済人会議に参加した。

 今回の会議は、日韓国交正常化51年目を迎え、「日韓友好・経済協力の新たな50年への元年」として、「共に手を携え、更に経済・人材・文化交流で新時代を築こう」という、力強い明確な目標を掲げ、両国から300人を超える各界の参加者が参集した。

 第一に、新時代元年という強い意気込みが随所に感じられ、両国の経済協会の会長の力のこもった挨拶から始まり、30数年ぶりに同時出席された経団連会長、商工会議所会頭、韓国の経済団体や主要企業のリーダー、両国の政府幹部・政治家各位より、大変意欲的な意見や展望が披露され、様変わりの印象を感じた。

 第二に、長い間、日韓関係を大切に活動を続けられてきた、両国の多くの親しい友人とも再会し、懐かしい思いを強くしたが、同時に参加者が随分若返り、特に韓国の若い研究者や企業リーダーが、人柄も優れ、大変優秀なことに感銘した。もちろん日本の若手リーダーたちも負けずに優秀で、今後、両国の経済を担う優秀なリーダーの皆さんが、共に友情と連携を深め、努力されることが期待され、将来に希望を強く感じさせられた。

 第三に、かつての経済人会議では、いつも、貿易の不均衝、部品産業への協力要請、複雑に見える問屋制度など非関税障壁問題や、韓国での労働問題などが、大きく提起されてきたが、今回は、現下の世界経済や経済秩序の不安定性や北朝鮮の挑発行動などの現状に対する懸念や危機感を共有した。報告や討論の多くが、後ろ向きの議論は全く無く、未来志向でしかも内容が深く、単に目標に止まらず、目に見える具体的建設的な貴重な提案、提言が多かったのが、印象的であった。

 例えば、アジア経済統合・連携への主導、TPPへの参加や日韓中FTAの早期妥結。既にかなり進んでいる第三国への共同進出の拡大。両国共通の緊急課題である少子高齢化問題、医療介護機器開発、介護人材の育成確保。環境問題についての協調、研究開発・技術標準化への努力。

 オリンピックに向けても、共に観光客の増加と利便性の向上を図る。一例として「共通観光券の発行」の提案は、良いアイデアで是非具体化の検討を望みたい。

 第四に、両国の将来を担う、次世代若手経営者や学生の相互交流が、大きな話題になった。

 すでに、毎年秋にそれぞれ開催の「日韓・韓日交流おまつり」は、年々盛んになっており、日韓高校生交流キャンプ・日韓大学生未来会議も定着拡大しており、これらの継続に加え、新たに始めた日本の企業文化の理解に役立つ、在韓日本企業による韓国大学生のインターンシップを更に充実することとなったが、大変良いことと思った。

 会議が終わり会場を後にした時、後部席の10名を超える若い男女大学生グループが立ち上がり、丁重な挨拶をされて、多少面食らった。彼らは、高校生キャンプの縁と友情を大切に、両国学生で自主的に大学生未来会議を創り、国際交流を続けている若者だった。一般の日本の大学生(失礼かな)と少し違う清潔感と目の輝き、キチンとした挨拶に接し、これも研修交流で韓国から学んだことだと直感した。

 私は、これまで両国を隔てた国民感情の誤解や不信の最大の理由は、お互いを余りにも知らな過ぎること、知ろうとする努力の不足が主因だと考えている。日韓議員連盟の額賀福志郎会長が冒頭挨拶で、「政治の安定なしに経済の発展は無い」と明確に語ると共に、「50年前の日韓国交回復交渉は内外の厳しい情勢の中で、両国の先輩方が、大変な苦労を重ねて結実したもので、その苦労に比べたら、今日の我々はもっともっと出来ることがあるはず」とのご指摘には、聞くべきものがあった。