◆労働市場の柔軟化を行うことが大切◆
文在寅大統領は、公共部門の非正規労働者を正規に転換すると公約した。さらに大企業についても非正規労働者を雇う際の規制を強化することを約束している。
そして、大統領は当選早々に仁川国際空港を訪問して、任期内に公共部門の非正規労働者をゼロにすると宣言し、これを受けて仁川国際空港公社の鄭日永社長が、今年中に間接雇用など非正規労働者を正規に転換すると約束したと報じられた。
公約に早速着手したことは、行動力のある大統領といった印象を強めたと思われるが、韓国の労働市場が抱えている構造問題を解決せず、非正規労働者を無理やり減らそうとすれば、かえって雇用が減少するなど悪影響が出ることが懸念される。
そもそも韓国で非正規労働者が増えた原因として、労働市場の硬直性を挙げることができる。勤労基準法で定められた解雇の要件は厳しいが、労働組合の存在がさらに解雇のハードルを高めている。
労働組合の力が強い大企業や公企業についてはリストラが難しく、賃金や各種手当など労働者を雇用するためのコストも、労働組合の強気な要求により高まる傾向にある。一方で民間の大企業の多くは輸出企業であり国際競争に勝たなければならない。
またグローバル化が進んだことにより、販売量の振れ幅が大きくなり、雇用を調整する必要性も大きくなっている。正規労働者は、コストも高く雇用調整もできないことから、これを解決する方法として非正規労働者が使われてきた。
また、民間企業と公共を問わず、清掃、警備、受付、コールセンターなどは企業にとってアウトソーシング(外部委託)しやすい業務だ。
経験年数が長く労働コストの高い労働者の生産性が高いわけではないので、年功序列により給与が上がっていく自前の職員を使うよりは、一定の金額で業務そのものをアウトソーシングして、請負契約を結んだ間接雇用の労働者を使った方がコストを大きく削減することができる。
民間の大企業は輸出競争力を確保し、販売量の変動に対する対応力を確保するため、非正規労働者を積極的に雇ってきたが、非正規労働者の雇用の規制強化がなされれば、企業は省力化投資を積極的に行うとともに、雇用は最小限にとどめ、繁忙期は既存の労働者の超過勤務などで調整することが考えられる。これは全体の雇用が減ることを意味する。
また公企業の中には競争にさらされていないところもあるが、コスト上昇は公企業が生産する在・サービスの消費者に転嫁されてしまい、最終的な負担は国民が払うことになる。
結局のところ、労働組合の強い大企業や公企業の正規労働者の雇用や賃金の柔軟性を一定程度高めれば、あえて非正規労働者を雇う必要はなくなり、雇用を必要以上に削減すこともなくなる。そのためには、
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