◆米中貿易摩擦による失速を懸念◆
韓国経済が現在好調なことは疑いがないが、これは、輸出価格が高まっていることと輸出数量が伸びていることによる。
輸出価格は、主要な輸出品目である半導体価格が上昇していることから高まっており、輸出数量は米国と中国といった韓国最大の輸出先の経済が好調であることから伸びている。しかし韓国にとって追い風である半導体価格の高まりと、米国経済および中国経済が失速するのではないかという報道がなされるようになってきた。
韓国では半導体が輸出の主力製品であるが半導体価格は騰落が激しく、これが韓国の交易条件を大きく左右する。交易条件を簡単に説明すれば、輸出価格を輸入価格で割った数値であり、これが上昇すると相対的に自国の製品が高く購入されていることを意味する。
韓国の交易条件が高まれば、有利な価格条件で貿易できることで国民所得が高まり、ひいては消費や投資を促すことで景気にプラスとなる。半導体価格が下落して交易条件が悪化すれば韓国の景気は足を引っ張られる。また輸出数量が減少すれば、価格変動の影響を取り除いた実質需要が落ち込み、実質経済成長率が低下する。
まずは半導体価格について懸念材料を見ていこう。最近、サムスン電子とSKハイニックスの営業利益率が50%を超えたという記事が出た。営業利益率50%超えという驚異的な数字が出た理由は言うまでもなく半導体、なかでも韓国が強いメモリー価格の高騰である。
メモリー価格は2016年の半ば頃から高まり続け、半導体メーカーに巨額の利益をもたらした。しかし、半導体価格の先行きに懸念もある。メモリーのうちスマートフォンに使われるNAND型フラッシュメモリーの価格がこのところ下落している。報道によれば、これは量産化が進んだことによる供給増と、最近になって中国におけるスマートフォン需要が一服していること、またアイフォーン10が失速したことによる需要減が原因である。
韓国経済にとって半導体価格の下落は鬼門である。1995年から、当時の半導体製品の主力であったDRAM価格が暴落し、これが好調であった韓国の景気に水を差した。結果、1996年から韓国の景気は後退局面に入り、通貨危機の遠因となった。
次に米国と中国の景気である。両国の景気失速をもたらす最大の懸念が米中貿易摩擦である。米国が中国を狙い撃った関税引き上げを表明して以降、
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