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2018/10/19

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第93回 李舜臣将軍と朝鮮水軍                                                         郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 郵便学者 内藤 陽介 氏

     ないとう・ようすけ 1967年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究。

  • 切手に見るソウルと韓国 第93回 李舜臣将軍と朝鮮水軍

    1949年発行の切手

◆朝鮮時代に総大将の本陣を示した帥字旗◆

 今月11日、韓国海軍が済州島で開いた国際観艦式の海上パレードは、旭日旗問題があっていろいろと物議を醸した。なかでも、韓国側が艦船に自国と韓国の国旗だけを掲げるよう参加国に要請したにもかかわらず、文在寅大統領の乗艦に〝李舜臣将軍を象徴する旗〟を掲揚していたことがわかり、日本政府が外交ルートを通じて抗議したのだが、歴史的事実という点からすると〝李舜臣将軍を象徴する旗〟というのは、正しくない。

 大統領の乗艦に掲げられていたのは、〝帥〟の字を大きくあしらった帥字旗と呼ばれるもので、朝鮮王朝時代に〝総大将の本陣〟を示すため使われた軍旗である。この旗は、もともとは文禄・慶長の役の際に、援軍として朝鮮に派遣された明軍を真似て使われるようになったもので、そもそも、李舜臣の時代には朝鮮では使われていなかった。

 こうしたこともあって、KBSの報道では、李舜臣に始まる〝三道水軍統制使(慶尚道・全羅道・忠清道の水軍の総指揮官)の帥字旗〟と説明していた。ここに、観艦式での「李舜臣将軍の精神を受け継いだ最強の海軍」との大統領の発言を混同して、日本では〝李舜臣将軍の旗〟と報じられたのかもしれない。ただし、韓国内でも、2014年にヒットした映画『バトル・オーシャン 海上決戦』では李舜臣率いる朝鮮水軍が帥字旗を使っている場面があり、そこから、帥字旗を李舜臣の旗と誤解している韓国人も少なくないようだ。

 帥字旗が李舜臣と無関係だとすると、李舜臣の水軍が実際にはどんな旗を掲げていたかが問題となるわけだが、李舜臣の肖像や水軍の戦闘場面をリアルタイムで記録したビジュアル史料は残されていないので、現在の我々がそれらを再現しようとすれば、ある程度の史料を踏まえたとしても、最後は想像力の産物とならざるを得ない。

 大韓民国政府成立後まもない1949年に発行された500㌆(旧ウォン)切手では、


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