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2019/09/13

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第104回 月の「玉兎」伝説                                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 切手に見るソウルと韓国 第104回 月の「玉兎」伝説                                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究。

  • 切手に見るソウルと韓国 第104回 月の「玉兎」伝説                                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

    1980年7月10日に発行された「民画シリーズ」の1枚で、月明かりに照らされた桂の木の下、つがいの兎が竪杵(棒状の杵)で臼をついている

◆生産と豊穣、家族のきずなの確認に◆

 本紙の発行日、13日は秋夕(中秋節)にあたる。月に玉兎がいるとの伝説は、朝鮮半島を含むアジア全域に見られるが、その元になったのは、以下のような仏教説話である。

 その昔、猿、狐、兎の3匹が、山の中で力尽きて倒れているみすぼらしい老人に出逢った。老人を助けるため、猿は木の実を集め、狐は川から魚を捕り、それぞれ老人に与えた。

 しかし、何も採ってくることができなかった兎は、自分の非力を嘆き、老人を助けるため、自ら火の中へ飛び込み、自分の体を老人に差し出した。


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