◆半導体需要の陰りで輸出不振続く◆
22日に18年10~12月期の実質成長率が公表された。季節調整済前期比は実質で1・0%であり、同年の7~9月の0・6%よりは高まった。しかし、成長率が高まったからといって韓国の景気は拡大していると判断することはできない。
成長率の内訳を見ると非常に良くない兆候が出ている。10~12月の輸出は2・2%のマイナス成長であり、全体の成長率を1・0%引き下げている。輸出については18年に入って3四半期連続でプラスを記録していただけに、今回のマイナスは今後の韓国経済に暗い影を落としている。
輸出がマイナス成長となった理由は大きく2つある。第一の理由は中国経済の減速である。中国の経済をみると、18年10~12月期の実質成長率は前年同期比で6・4%にとどまり、この原因としては米中貿易戦争による輸出の不振が挙げられる。また固定資産投資の伸びも弱まり、生産も低調となっている。韓国経済は輸出、特に中国への輸出へ大きく依存しているため、中国経済の減速は韓国経済に深刻な影響を与える。
OECDとWTOが共同で作成し13年から公表を始めたTiVA(Trade in Value-Added)指標によれば、16年における韓国の国外最終需要比率(18年12月公表)は29・4%であり、韓国で生産された付加価値の約3割が海外で需要されている。また国外における需要に中国が占める割合は25・3%で、アメリカの18・3%を上回っている。
2000年代の中盤ぐらいまでは米国の景気が良ければ韓国景気は盤石であったが、近年は中国の影響の方が大きくなっており、ここ数年、好調な中国景気が韓国経済を下支えていた。この下支えがなくなったことで韓国の景気の見通しは暗くなった。
輸出がマイナスとなった第二の理由は、旺盛な半導体需要が一服したことである。半導体はスマートフォン向けのフラッシュメモリー、サーバー向けのDRAMの需要が大きく伸びていたが、需要に陰りが見えてきた。主力の輸出品目である半導体が低調となり、全体の輸出もこれに引きずられた。
なお半導体については価格も低下しており、さらに価格が下がれば交易条件が低下し、設備投資や個人消費といった内需にも大きな影響を与える可能性がある。ちなみに1996年初から韓国は景気後退に陥ったが、この要因は半導体価格の暴落であった。
輸出がマイナスとなり成長率の足を引っ張ったにもかかわらず、
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