◆一年前から「景気後退局面」入りか◆
日本では5月13日に3月の景気動向指数が公表され、基調判断が6年2カ月振りに、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」に転じた。
景気動向指数の基調判断は、景気変動の大きさやテンポといった量的な側面を把握できるCI(コンポジット・インデックス)一致指数から機械的になされる。すなわち、原則として3カ月以上連続して、CI一致指数の3カ月後方移動平均が3カ月以上連続して下降し、かつ、当月の前月差の符号がマイナスであれば、「下方への局面変化」から「悪化」へと基調判断が自動的に変わる。
ただし、景気の転換点が、すなわち景気の山・谷がすぐに公表されるわけではなく、景気動向指数研究会で様々な角度から議論が重ねられ、景気転換点からかなり時間が経過した後、景気の山・谷が公表される。
日本の景気動向指数に類似する指標として韓国には景気総合指数がある。日本と同様、景気の動きに敏感な指標を総合して作成され、日本と同じく景気変動の大きさやテンポを把握できるCIである。韓国では名称が日本と一部異なるが、景気に先んじて動く「先行同行指数」、景気とともに動く「同行総合指数」、景気に遅れて動く「後行総合指数」の3種類がある。
同行総合指数は、鉱工業生産指数、サービス業生産指数(卸・小売業除外)、建設既存額、小売販売額指数、内需出荷指数、輸入額、非農林漁業就業者数の7つの指標を合成して作成される。なお韓国では同行総合指数からトレンドを除いた「同行総合指数循環変動値」が特に重視されている。
同行総合指数循環変動値を見ると、2019年3月までは12カ月連続で前月差がマイナスとなり、4月も変動がゼロであった。18年4月からの前月差マイナスの累積値は2・1㌽である。このマイナスの累積値は、97年末の通貨危機後の景気後退期、08年のリーマンショック後の景気後退期のマイナスよりは小さい。
しかしながら2000年以降の景気後退局面の初期におけるマイナスの累積値と比較すれば小さな数値ではない。そして08年のリーマンショック後の景気後退以降、これだけ大幅にマイナス値が累積したことはなく、
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