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毎春、日本の外務省は「外交青書」を発行している。数年前からは戦後の「外交青書」をすべてインターネット上で閲覧できるようになっているが、私の講義の受講生たちに聞いたらアクセス経験がある人は0人、「外交青書」の存在を知っている人も数人に過ぎなかった。これは単に日本の若者だけでのことではない。
韓国の「外交白書」の執筆陣の一人が、“白書を読む人は一部の関連学者と相手国のカウンターパートしかいない”とため息をついたこともある。
連日、韓日関係に関する記事が両国のニュースサイトに流され、コメント欄で論争が交わされることとは違って、「外交文書」は一般市民にとっては遠く感じられるものである。
海外でも遠い存在のように認識された「外交」だが、最近はデジタル技術やソーシャルメディアを通じて、日常生活の中に溶け込んでいる事例もある。豪州外務貿易省は2016年と17年のForeign Policy White Paperの作成期間中、国の外交政策として優先されるべきと思われるテーマを写真に撮り「#FPwhitepaper」というハッシュタグをつけるようにした。
「Reduce Poverty(貧困問題の解決)」、「Real Action on Climate Change(気候変動対策)」などのメッセージが投稿され、引用と「いいね!」の数をあわせると100万人以上が参加したと言われている。
このようなキャンペーンが実際に国の外交政策を変化させたとまでは言えないが、豪州の外交白書が全世界的な注目を集めるようになったのは間違いない。
伝統的な外交は政府間で行ってきたものの、近年では文化・芸術・言語・メディアなどを手段として、一国の政府機関が自国又は他国の国民と直接コミュニケーションを行い、外交的な目標を達成することが増えている。その背景にある、パブリック・ディプロマシー(Public diplomacy、日本では「広報文化外交」や「対市民外交」と訳されることもある)は1960年代から米国を中心に外交的な概念として進展してきたが、グローバル化と情報通信技術(ICT)の急速な進歩により、最近では韓国と日本を含む様々な国が戦略的に推進するようになった。
特に、サイバー空間でのパブリック・ディプロマシーに関しては、「サイバー外交」、「デジタル外交」と呼ばれ、2010年代から関連研究が活発に行われている。インターネットはデジタル外交の効果的な手段として、多国語の対応も容易であるため、各国は自国の情報を正しく提供するための公式ホームページを構築し、主要な政策を不特定多数へ発信することが多い。その上、日本の外務省と韓国の外交部はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での活動も行っている。
このようなデジタル外交を通じて、
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