新型コロナウイルスの感染予防と拡散防止のため、16日からソウルの国立中央博物館が臨時休館となった。2018年以来、国立中央博物館では、光復節の15日を含む約1週間、韓国国内最古の太極旗である“デニー太極旗”が特別公開されてきたが、“光復75周年”
の今年に限って、14・15日の両日しか公開されなかったのは残念だ。
旧大韓帝国の国旗でもあった太極旗は、朝鮮王朝時代の1882年8月、朝鮮の特命全権大使にして修信使(この場合は、1882年7月23日に漢城=現ソウルで発生した“壬午事変”に際して、日本公使館が襲撃され、日本人の軍事顧問や公使館員が殺害された件を謝罪するための使節)であった朴泳孝が日本に向かう船中でその原型を考案したとされている。
ただし、同年7月に米海軍省公開局の発行した『海上国家の旗』には、太極旗を思わせるデザインの旗が図版として採録されており、朴泳孝の航海以前に何らかの国旗制作作業が進められていた可能性も否定できない。
さて、船上で朴が考案したという太極旗の原型は、中央に青と赤で陰陽を表現した太極文様(ただし、中華文化圏では、太極文様の陰陽は単色で表現されるのが一般的で、韓国の国旗に見られるような二色使いのものは例外的である)を描き、その周囲に八卦を配するデザインだった。
古代から中華世界で行われてきた易では、陰と陽を示す記号の爻を3つ組み合わせて、方位や吉凶などを表現した。この組み合わせが8通りあることから、それらを総称して八卦という。
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