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2021/05/14

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第124回 金銅癸未銘三尊仏                                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 切手に見るソウルと韓国 第124回 金銅癸未銘三尊仏                                                   郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究

  • 切手に見るソウルと韓国 第124回 金銅癸未銘三尊仏                                                   郵便学者 内藤 陽介 氏

    「金銅癸未銘三尊仏」の900㌆切手(1993年9月20日発行)

 日本の「花まつり」は毎年4月8日に固定されているが、韓国の仏誕節は旧暦によって祝われるため、毎年移動する。ことしは5月19日がその日だが、これに先立ち、14日からは、曹渓寺(郵征公園)、奉恩寺、清渓川一帯では毎年恒例の燃灯会が開催される。

特に、今回は昨年(2020年)12月に韓国の燃灯会がユネスコ無形文化遺産に指定されてから最初の開催だけに、コロナ禍でネットを中心とはなるが、例年以上に多彩な行事が予定されている。

 ソウルの仏像といえば、国宝78号および同83号の弥勒菩薩半跏思惟像を連想する人も多いだろうが、釈迦の像としては、1993年9月20日に発行の900㌆切手(普通切手)にも取り上げられている〝金銅癸未銘三尊仏〟が有名だ。

 金銅癸未銘三尊仏は、中尊の釈迦如来とその左側(向かって右)が文殊菩薩、同右側が普賢菩薩の両脇士の三尊が一つの舟形光背を負っている〝一光三尊仏〟の三尊像で、国宝第72号に指定されている。ちなみに、文殊菩薩は智慧を司る仏で、普賢菩薩は世界にあまねく現れ仏の慈悲と理知を顕して人々を救う賢者とされている。


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