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2021/09/10

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第129回 韓国のキリスト教普及                                 郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 切手に見るソウルと韓国 第129回 韓国のキリスト教普及                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究

  • 切手に見るソウルと韓国 第129回 韓国のキリスト教普及                                  郵便学者 内藤 陽介 氏

    天主教布教200周年を記念して1984年に発行された記念切手

 今月1日、カトリック全州教区長の金仙泰主教は、韓国カトリック初の殉教者であるパオロ尹持忠(1759~91)とヤコブ権尚然(1751~91)と、尹持忠の弟で1801年の辛酉迫害で殉教したフランシスコ尹持憲(1764~1801)の遺骨が全羅北道完州郡の〝草南イ聖趾〟で発見されたことを明らかにした。

 朝鮮にキリスト教が伝来したのは、1593年の文禄・慶長の役に際して、日本のキリシタン大名、小西行長の求めに応じてイエズス会司祭のグレゴリオ・デ・セスペデスが朝鮮に渡ったのが最初とされている。

デ・セスペデスは日本の従軍司祭として活動したのであって、朝鮮人に布教をしたわけではなかったが、戦役を通じて、小西はある朝鮮人少女を養女にしており、彼女が後に受洗して〝ジュリアスおたあ〟と名乗るようになったことから、彼女は史上初の朝鮮人キリスト教徒(受洗者)と考えられている。

 1631年には中国経由でキリスト教に関する書籍(『天主実義』など)が輸入され、18世紀後半には〝西学〟としてそれらを学ぶ者が現れる。また、1784年には外交使節の一員として北京に派遣された李承薫が、かの地で教理を学び、洗礼を受けて帰国して、漢城(ソウル)ではなく、平壌に礼拝所を建設した。これが、一般に朝鮮における〝天主教(=カトリック)〟信仰の起源とされており、ここから起算して200周年になる1984年には記念切手も発行された。


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