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2022/03/25

<トピックス>私の日韓経済比較論 第113回 尹次期大統領の経済公約                                                   大東文化大学 高安 雄一 教授

  • 私の日韓経済比較論 第113回 韓国の所得格差                                                   大東文化大学 高安 雄一 教授

    たかやす・ゆういち 1966年広島県生まれ。大東文化大学経済学部社会経済学科教授。90年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、2000年在大韓民国日本国大使館二等書記官、00~02年同一等書記官。内閣府男女共同参画局などを経て、07~10年筑波大学システム情報工学研究科准教授

◆不動産高騰、雇用環境、格差問題の解決を◆

 3月9日に実施された大統領選挙は大接戦になり、現在の野党である「国民の力」の尹錫悦氏が、与党である「共に民主党」の李在明氏を破り勝利する結果となった。

 尹次期大統領の経済に関する公約は地味である。李氏は、国民に基本所得として、まずは年25万㌆(約2万3000円:22年2月の為替レートで換算。以下同様)から始めて、最終的な目標としては年100万㌆(約9万1000円)まで支給することを約束した。そして、23年より19~29歳の年齢層に加えて年100万㌆を支給するとした。

 これに対して、尹次期大統領の公約には、超目玉という政策はなく、よく言えば現実的で浮世離れはしていない。

このような公約であるが、経済に関する部分をいくつかの分野に分けつつ見てみよう。

 尹次期大統領の公約といえば不動産対策に力をいれていると言われている。そこでまずは具体的に公約の内容を示すとともに、この公約で不動産価格が改善するのかみてみよう。

 不動産の問題点とは価格の高騰である。文在寅政権時に首都圏を中心に不動産価格が高騰し、若年層など所得が多くない層の住宅の購入が難しくなった。さらに、韓国はチョンセと呼ばれる住宅賃貸システムがあり、まとまった額の保証金を支払うことで住宅を借りることができ、退去時に全額返還される。


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