ここから本文です

2024/10/18

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第166回 韓国女性作家、朴景利  郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 韓国女性作家、朴景利

    ないとう・ようすけ 1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究。

  • 切手に見るソウルと韓国 第166回 韓国女性作家、朴景利  郵便学者 内藤 陽介 氏

    韓国女性作家、朴景利の切手(17年6月27日発行)

◆26年かけて大河小説「土地」を執筆◆

 今年のノーベル文学賞は韓江氏がアジア人女性として初めて受賞した。(以下、文中敬称略)

 韓国の現代小説では、韓江の他にも、チョ・ナムジュ(趙南柱)の小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が日本語を含む各国語に翻訳されて国際的にも高く評価されるなど、女性作家の活躍が目立っているが、そうした韓国人女性作家の草分け的な存在というべきなのが、17年6月27日に発行の切手にも取り上げられた朴景利である。

 朴景利は、1926年10月28日、日本統治時代の慶尚南道統営で生まれた。本名は朴今伊である。父親が家庭をほとんど顧みなかったため、母親はほとんど女手一つで彼女を育てたが、結局、彼女が18歳の時に両親は離婚。不遇な家庭環境の中で彼女の孤独を癒す唯一の手段は読書で、少女時代の彼女は、追い出されるまで本屋にいすわって詩や小説に読みふけったという。


つづきは本紙へ