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2024/11/15

<トピックス>切手に見るソウルと韓国 第167回 近代郵便創業140周年  郵便学者 内藤 陽介 氏

  • 切手に見るソウルと韓国 第167回 近代郵便創業140周年  郵便学者 内藤 陽介 氏

    ないとう・ようすけ 1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。日本文芸家協会会員、フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や地域のあり方を読み解く「郵便学」を研究。

  • 切手に見るソウルと韓国 第167回 近代郵便創業140周年  郵便学者 内藤 陽介 氏

    切手シートの下部に〝大日本帝國政府大蔵省印刷局製造〟と書かれている

◆開業19日で廃業、10年以上経て再開◆

 1884年11月18日(時憲暦光緒10年10月1日)に朝鮮王朝が近代郵便を創業してから、ことし(24年)でちょうど140周年になる。

 朝鮮王朝では、改革派官僚であった洪英植を中心に近代郵便創業の準備が進められ、1882年、日本の印刷局に切手5種類の製造が発注された。切手の図案は太極旗をモチーフとした雛型を基に日本側でデザインを書き起こして作られたが、日本側の作成した太極文様は陰陽魚ではなく、周敦頤が1170年に著した『太極図説』の図が採用されている。

 古代中国では、世界の始まりは混沌の状態にあり、そこから陽の気(澄んだ明白な気)が上昇して天となり、陰の気(濁った暗黒の気)が下降して地となるが、宇宙のありとあらゆるものは、能動的な陽と受動的な陰の二気によって消長盛衰し、陽と陰の二気が調和して初めて自然の秩序が保たれるとされた。


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