韓半島に人が住むようになったのは約70万年前である。韓民族は約5000年前にアルタイ山脈一帯に住んでいた部族が東方に移動し、そのうちのツングース族が韓半島に定着したと考えられている。そして約3000年前に青銅器文化が伝えられ、この頃から今日の韓民族の基礎が築かれたといわれる。大国にはさまれた地理的条件のため、歴史上、数多くの外国勢力の侵略を受けてきた。しかし、困難な中でも民族の主体性を守り、独自の文化を発展させている。その代表がハングルである。高句麗時代から歴代王朝は、漢字を韓国語として常用してきた。統一新羅、高麗時代を経て1392年に朝鮮朝が始まると、世宗大王が民衆に言葉を広めるため、1446年にハングル(訓民正音)を創製した。これが韓国語の表記文字として広く普及した。
高麗時代の1234年には、グーテンベルグより221年も早く初の金属活字が発明された。さらに15世紀末の朝鮮朝時代に豊臣秀吉軍との海戦で勝利を導いた亀甲船は、世界初の鉄船とされる。また高麗時代には、「八万大蔵経」の版木を完成させた仏教文化国として欧州にまでその名が伝わった。高麗青磁、李朝白磁などの陶磁器文化は、豊臣秀吉の朝鮮侵略時に日本に伝来した。韓民族は知恵と創意を重ねて、世界に誇る文化と科学を確立してきた。近年はクラシック界の鄭明勲、鄭京和姉弟、モダンアートの白南準など世界的なアーティストを輩出している。また韓国ドラマ、映画が2000年代に入って世界各国で上映されるなど、いわゆる「韓流」を生み出した。
韓国は工業化の進展に伴い都市への一極集中が進んでいる。首都ソウルは、人口約1100万人の世界有数のマンモス都市で、全国民の約4分の1がソウルに住んでいる。海外在住の韓国人も、中国276万人、米国201万人、日本69万人など、世界169カ国・704万人にのぼっている。
韓国の経済発展と並行して、交通網も大きく発展した。ソウルは地下鉄・バス・タクシーが発達し、高速道路も整備されている。国内の主要空港はソウル・釜山・光州・済州・浦項など15カ所。国際空港は仁川、釜山など9カ所。24時間運航の仁川国際空港は2001年3月開港した。
情報通信分野も飛躍的な発展を遂げた。携帯電話は約4500万台以上が普及し、国民の1人に1台以上を所持。インターネットの普及率は世界1で、利用者数は3500万人を突破するなど世界最高水準にある。一方でネットを利用した誹謗中傷などが社会問題化している。